ミン・グホン・マニュファクチャリング

asdf

2015

asdfは美しい配列です。asdfの信奉者たちが集まる asdf.com では、asdfについて次のように紹介されています。

asdfは件名がないときに入力するキー配列です。
asdfはjkl;が好きです。
asdfはタイピング練習で最初に習う4文字です。
asdfは自由です。
asdfは流行の末路です。
asdfは無です。
asdfはただ、存在します。
asdfは緑色でしょうか?
asdfはスクラブル(英単語を作って得点を競うボードゲーム)で8点の価値があります。
asdfは未発表のジン(zine)のタイトルです。
aoeuはasdfのいとこです。
asdfは4文字の単語です。
asdfは本来大文字で表記されるべきですが、そうされません。
asdfは重大な差異です。
asdfはこれかもしれませんし、
asdfはこんなふうに聞こえるかもしれません?

asdfに様々な意味を込め、自分の記憶の中に据えようとする信奉者の一人、ミン・グホンもまた、asdfに独自の意味を与えています。彼にとってasdfは、ウェブサイト制作の最初のステップにおいて実行されます。つまり、<body>タグの直下に <div id="asdf"></div> を追加することです。それは、ウェブページの中心が、何でもないように見えるasdfという存在でありながら、同時に深い意味を持ちうるという可能性を秘めています。


一方、ミン・グホンは「三文字物語」で、asdfの変形である asd について次のように書いています。

アメリカ・ミルウォーキーの新聞編集者クリストファー・レイサム・ショールズ(Christopher Latham Sholes)が最初に考案したタイプライターのキーボード配列は、アルファベット順でした。しかし友人のジェームズ・デンスモア(James Densmore)にとって、その配列には問題がありました。速記には不向きであり、何より近くのキーを続けて押すと、タイプバーが絡まりやすかったのです。そこで、配列の見直しが必要とされました。

現在広く使われているQWERTY配列の成り立ちに関するこの話は、かつては定説とされていましたが、今では真偽が疑問視され、伝説と化しています。ショールズがどのように配列を組み直したのか、正確な記録はありませんが、QWERTYは標準となり、初期のパーソナルコンピュータのキーボードを経て、今では最も一般的な配列になりました。

さて、今あなたがコンピュータの前に座っているなら、椅子の背にもたれて、キーボードのFとJキー(突起付き)に両手の人差し指を置いてみてください。それが、現代人の基本的なコンピュータ操作の姿勢になります。ブラインドタッチができるなら、この突起を点字のように利用して、キーボードを見ずに他のキーの位置を把握できます。目はスクリーンに、手はキーボードから離れません。

このとき、左手の小指から薬指、中指へと続く下にあるASDキーは、最も打ちやすいキーとして、現代のコンピュータ環境で様々な用途に使われています。例えば、ユーザー名に使われると「名前などどうでもいい」という皮肉めいた態度を表し、チャットでは「言うことがない」「考えがない」ことを示す手段になります。(もちろん、ASDだけがそれを表す方法ではありませんが。)ときにASDというタイトルの文章が書かれることもあるでしょう。でも、その文章に語る価値があるかどうかは…わかりませんね。